僕達は毎年秋が始まる頃に、白杖を持ってパレードをしている。
僕達も参加しやすい社会を目指してアピールするのだ。
僕達の京都府視覚障害者協会、京都ライトハウス、
関西盲導犬協会、京都視覚障害者支援センターの4団体での共催だ。
実行委員会を組織して、それぞれの年度の内容を決めていく。
今年は、平野神社からライトハウスまでのパレードをすることになった。
僕の手引きをしてくださるのは、
ロータリークラブの活動をしておられる眼科医だった。
パレードが始まる前のわずかな時間に、
彼は白い花とピンクの花が一緒にある木を見つけて、
僕に教えてくださった。
その木まで近づき、花を触らせてくださった。
花に詳しいボランティアさんが、
その花は酔芙蓉という花で、
朝白い花が、お酒を飲んで酔っ払ったように、
だんだんピンクになり、夕方には赤くなると教えてくださった。
僕達は、不思議な花に思いを寄せた。
パレードが始まる頃には、そよ風がキンモクセイの香りを運んだ。
秋空の下を、僕達は歩いた。
僕の病気についても、二人で話した。
医学はパーフェクトではない。
でも、治療だけが医学でもない。
人間だからこそ、向かい合うこともできる。
きっとその辺りに、本質があるのかもしれない。
そうそう、左大文字が真正面に見える金閣寺のバス停のあたりで、
左大文字は低いから、遠くからは見れないことを、
地元の人として教えてくださった。
来年の送り火の日に、彼の手引きで歩いたことを思い出すだろう。
人間同士、いいよなぁ。
(2013年10月6日)