「松永さん、お久しぶりです、みずほです。」
桂駅のエスカレーターを上りきったところで、
爽やかな声が聞こえた。
小学校4年生の福祉授業で出会ってから8年の間に、
もう10回くらいは出会っただろうか。
特に、彼女が桂駅から電車通学の高校時代はよく出会った。
クラブ活動の大きな荷物をかかえながら、
何度も手引きしてくれた。
その頃彼女は、教育大学へ進んで、いつか教師になるのが夢だと語っていた。
僕は恐る恐る質問をした。
「大学はどうなったの?」
「第一希望に合格しました。今日もこれから学校です。」
僕はうれしくて、右手を差し出した。
しっかりと、手を握り合った。
教育は、未来を創造する仕事だ。
きっと彼女は、誰もが笑顔で参加できる社会を目指すに違いない。
最近、長年教育に携わっていた方から、
暖かなエールが届いた。
人間は、大昔から、
誰かの苦しみに思いを寄せ、誰かの悲しみに寄り添い、
誰かにエールを送ってきたのだろう。
そして、今がある。
その中で、教育の果たした役割は、
とても大きかったに違いない。
豊かになりすぎて、
教育さえも、ソロバンではじき出そうとする社会がそこまで近づいている。
僕達も参加しやすい社会に向けて、
彼女の未来に、心からエールを送りたい。
(2013年7月9日)