嵐山の駅のホームに足湯がある。
20人も座ればいっぱいになる小さなものだ。
あることは知っていたが、
なかなか行く機会がなかった。
見えなくなってから、いわゆる一般の温泉に行く機会は少なくなった。
初めての場所は、単独では躊躇してしまう。
浴場を白杖で歩くのも気がひける。
ガイドが女性だと、そもそも無理だ。
結局、いつのまにか遠ざかっている。
足湯は、手軽に行けて、
温泉好きの僕には、たまらない場所になりそうだ。
小さな空間に、
旅行者、近隣の人、中国人、台湾人、韓国人、それぞれの言葉で笑顔が集う。
男性も女性も、若者も、昔の若者も、
生きている今に、ささやかな幸せを感じている。
そこに、白杖を持った見えない僕もいる。
それだけで、平和っていいよなって思ってしまう。
150円で体験した、最高級の幸せの話でした。
(2013年7月5日)