新潟市の会場は、熱気に満ちていた。
大学の研究者、眼科や内科のドクター、視能訓練士、歩行訓練士、
相談支援の専門家、盲学校の先生方、機器の開発者など、
会場には全国から400人を超える人達が集まった。
目が見えない人達、見えにくい人達の未来に、
それぞれの立場での思いが寄せられた。
この専門家の皆さんのお陰で、僕も、失明からの再スタートがきれたのだ。
そして、歩き始めた僕に、
見える人達がたくさんのエールをくださる社会が存在している。
見えない者の一人として、
心からありがたいと思う。
新潟から帰り着いたら、
僕が訓練を受けた施設で、
爆撃機のエンジン音のレコードが見つかったという話を聞いた。
戦時中、見えない先輩達が、
エンジン音で敵機を判別する練習をしたのだそうだ。
悲しい時代を乗り越えて、
今、笑顔で歩ける社会があるのだ。
でも、まだまだ、日本中の仲間が笑顔になったわけではない。
来年の視覚障害リハビリテーション研究発表大会は、
7月19日と20日、京都で開催されることになった。
リハビリを受けた者の一人として、
感謝の思いで、大会長を引き受けた。
今、日本のどこかで、涙をこぼしている仲間に、
何かをプレゼントできるイベントにしたいと、心から願う。
(2013年6月26日)