年に数回の集い、
彼女とはそこで会う。
そして、いつも5分間くらい、
それぞれの思いを語る。
自由に語る。
それぞれの立場や役職を背負って会うのだが、
いつの間にか、同じ未来を見つめるともだちという感覚になった。
語るということ、言葉の力だろう。
その彼女が異動になるらしい。
僕は、ちょっと寂しいなと思いながら、
右手を差し出した。
「いつも、ありがとうございました。」
感謝を伝えた。
彼女は、僕と握手し、
そして、左手で握手している僕の右手をそっと包んだ。
無意識の行動だ。
そして、それがすべてを伝えていた。
彼女のぬくもりが、手から伝わってきた。
出会えて良かったなと、心から思えた。
見えなくなってから、
心を通わす人達とは、よく握手するようになった。
表情が見えないから、別の感覚で確認しようとしているのかもしれない。
そして、ただ握手するだけでなく、
相手の手を強く握ったり、
何かを伝えようとする。
時には、僕自身も、相手の手を両手で包むようにしていることがあるらしい。
無意識だ。
僕がそうしていることを教えてくれたのは、
男友達だから、性別に関係はないようだ。
門出の季節、皆さんもどこかでどうぞ。
(2013年3月22日)