朝一番に、ベランダで洗濯物を干し終わって、
冷たくなった手をすりあわせながら台所のガラス窓を閉めた時、
窓越しの春に気づいた。
顔や手に、ぬくもりを感じたのだ。
僕は、そっと、手のひらを外に向けて差し出した。
小さなバンザイみたいな格好だ。
春の光が、手にまとわりついた。
夏の光のような、肌を焦がすようなものではないが、
確かに、強い光だ。
何かエネルギーみたいなものを含んでいる。
前かがみになっていた身体が、ゆっくりと起き上がる。
顔が、日差しに向かって、少し上を向く。
光は、見える人に、明るさを届ける。
それは、とても大切なこと。
でも、見えない僕達にも、
ぬくもりでそれを知らせてくれる。
それは、見えても見えなくても素敵なこと。
光は、手にまとわりつき、身体に吸収されていく。
身体の中から幸せを感じる。
お日様は、平等だなって思う。
(2013年2月12日)