風になってください Ⅱ

新刊『風になってください Ⅱ』がデビューして、
今日で10日が過ぎた。
一人でも多くの人が手にとってくださればと、
もうこれは、願いを越えて、祈りの気持ちに近いものがある。
でも、現実は厳しい。
僕は、いわゆる作家でもないし、著名人でもない。
出版社も、歴史のある出版社ではあるけれど、大手でもない。
全国の書店にならぶということはない。
地元京都でも、書店の取り扱いはいろいろだ。
置いてない本屋さんもあれば、1冊だけ置いてあるという本屋さんもある。
話題の本とか、ベストセラーのコーナーに置いてくださっている本屋さんもあれば、
僕のポスターまで飾ってくださっているところもある。
本当にいろいろだ。
でも、よくもまあ、
こんな状況の中で、
最初の『風になってください』を、
たくさんの人達が読んでくださったものだ。
今更ながら、驚きながら感謝だ。
ベストセラーではないけれど、ロングセラーにはなっている。
応援してくださった人達に、あらためて、
ありがとうございますの気持ちを届けたい。
今日は、専門学校での授業のあと、
本屋さんへの挨拶回りをして、
久しぶりに、明るい中での帰宅だった。
クリーニング屋さんに立ち寄って、
頼んでいたスーツを引き取って、
どうやったら、いろんな人に読んでもらえるのかなと考えながら、
団地の中を歩いていた。
「松永さん、こんにちは。新しい本、読みました。」
突然、声がした。
以前、僕が講演に出かけた訪問介護ステーションの、二人のヘルパーさんだった。
障害を持った人のお宅に伺い、
お世話をしての帰り道だった。
読後の感想を聞かせてくださった。
母にも読ませますと言ってくださった。
晴れやかな気持ちになった。
そして、数にこだわる必要はないなと思った。
こうして、読んでくださって、
良かったよとおっしゃってくださる人がいる。
それはきっと、未来へ向かう力となる。
動くことさえ困難になった人達のお世話をしている彼女達の、
屈託のない笑顔が、
大切なことを教えてくれたような気がした。
ありがとうございます。
僕も、コツコツ頑張ります!

(2012年1月21日)