いつもと違うバス停でバスを降りた。
年に数回利用するバス停だ。
だいたいの方向とか、判っているつもりだ。
横を通る車のエンジン音を平行に感じながら、
前からくる人の雰囲気や、自転車に気をつけながら、
白杖から手に伝わる感覚、足の裏の感覚、
いろいろな音や匂いをキャッチしながら、
目以外の感覚を総動員して歩く。
記憶では、角を曲がったちょっと先にある横断歩道、
ところが、見つけられない。
目印の点字ブロックの上に、落ち葉が敷き詰められて、
何層にも重なっていて、
白杖で見つけられない。
ここ数日の雨と、北風の仕業だ。
こんな時、慌てたらだめ。
かくれんぼしている友達を探す気分で、
ゆっくりと路面を探る。
上手に隠れたなぁ。
なかなか見つけられない。
誰かに助けを求めようかとも思ったけれど、
かくれんぼで降参してるような気がして、
負けん気が許さない。
もう一回、ゆっくりゆっくり、路面を探る。
あったぁ!
僕の勝ち。
やっと見つけ出した点字ブロックの上で、深呼吸をした。
冬の匂いがした。
(2012年12月18日)