朝一番に、
神戸に引っ越した友人からメールがあった。
新しい住所の連絡と、どこにいても応援するとのメッセージだった。
朝から気を良くして家を出た。
今日は、年に一度の、地元の視覚障害者協会の日帰り遠足の日、
僕も楽しみにしていて、ほとんど毎年参加している。
僕達とサポーターで、ほぼ満員状態の貸切バスは、
笑い声に包まれながら、
山間にあるわらぶき屋根の民家が点在する村に向かった。
仲間達との笑い声に満ちた時間は、
いつもそっと、人生の豊かさの意味を教えてくれる。
僕達は、同じ時代に、同じ地域で、視覚障害になった。
それぞれが、それぞれの理由で、それぞれの時期に、視覚障害になった。
そして、それぞれが、それぞれの明日に向かって生きている。
キラキラと輝いて生きている。
この人達と出会えたという幸運に、
知らず知らず感謝してしまっている僕がいる。
「ブログ、読んでるよ」
仲間や、仲間の家族の声に、またまた、僕は気を良くした。
昼食後は、少し歩いて、
近くの小川の川原に腰を下ろした。
石っころの地面に、腰を下ろした。
ゆっくりと、せせらぎを聞いた。
手を、川の水につけた。
冷たさを感じた。
その行為だけで、幸せを感じた。
時々、鳥が鳴いた。
お日様が、微かに、右耳をくすぐった。
おだやかな空間だった。
いい、リフレッシュの一日となった。
遠足から帰り着いて、近くのスーパーに買い物によった。
買い物を終えて、音響信号の横断歩道を渡った。
もうそろそろ終わりかなというくらいのタイミングで、
「ずれてますよ。」
女性は、僕の手を引いて誘導してくださった。
ちょっと疲れていたのかな。
自分では、まっすぐ歩いていたつもりだったもの。
でも、この辿り着けない横断歩道の悲しさを、
たった一言が、
また、僕の気を良くしてくれるのだから、
やっぱり、人間の声っていいよなぁ。
人間の声って、すごいよなぁ。
(2012年11月4日)