高田馬場の駅の近くの居酒屋さん、そんなに広くはない店内は満員状態となった。
4日間の同行援護の研修、受講生は全国から集ってくださった。
そして初日の希望者の懇親会、多くの人が参加しておられた。
責任者の僕の乾杯の発声が宴のスタートだった。
2時間飲み放題、お酒好きにはいいプランだ。
僕はアルコールは一滴も飲めない。
父も母もそういうタイプだったので遺伝なのだろう。
宴が盛り上がってくると酔っ払いの笑い声が聞こえだす。
楽しそうにうれしそうに酔っぱらっている人には幸せが宿っている。
うらやましくもなる。
でも、僕は身体が受け付けないのだから仕方がない。
もっぱら食べることと話すことで時を過ごす。
障害の害という漢字についてどう思うか、誰かが言い出した。
いろいろな人が私見を述べた。
こういうことに正解なんて存在しない。
それぞれが話、それぞれが耳を傾ける。
それぞれの思いが未来を見つめる。
その輪の中に存在できることをうれしく感じる。
50年ほど前に、見えない人の外出を社会で支援するという制度がスタートした。
最初の制度は、利用できるのは一人暮らしの全盲の人だけ、サポートしてもらえるの
は病院と役所だけというものだった。
理解してくださる人、共感してくださる人、支援してくださる人、その後押しがあっ
て同行援護の制度が誕生したのは14年前だ。
有難いことだ。
でも、まだまだ完成されたものとまでは言えないと僕は思っている。
見える人も見えない人も見えにくい人も、皆が笑顔で参加できる社会、そこに向かい
続けなければいけない。
当事者と専門家が手を取り合って進む時、それが一番の力となる。
酔っ払い達の笑顔を感じながら、明日からの講義も頑張ろうと思った。
(2025年3月15日)