柿の木の枝の隙間から

久しぶりに庭仕事をした。
本当に久しぶりだった。
早朝に家を出て夜帰宅という日が続いていたためだ。
それ以前もたまに休日はあったのだが、雨だったり別の用事で庭に出れなかった。
16時くらいに帰宅できた日に玄関のプランターにチューリップの球根を植えたことは
あった。
今年最後のゴーヤの収穫をしたのも夜だった。
しっかりと草抜きをしたのは9月の終わり頃以来だったかもしれない。
予想はしていたが雑草が凄かった。
所々、土が隠れるくらいに生えていた。
ただただその生命力にはいつものように驚いた。
雑草への敬意みたいなものさえ感じた。
柿の木の下は枯れ葉で覆われていた。
見事な枯れ葉のジュータンだった。
草抜きも枯れ葉の掃除も大変なのだが心はうれしくなった。
小さな僕の家の庭にも秋がきてくれたのだ。
僕はわざと枯れ葉の上に座った。
そしてそっと寝転がった。
いくつになっても、時々少年みたいな行動をしてしまうことがある。
もう恥ずかしさも照れくささもない。
僕は僕でいいんだと素直に思う。
空を見上げた。
裸ん坊の柿の木の枝の間から秋空が見えると思った。
じっと見つめた。
少しだけ涙がこぼれた。
自分でも意味不明の涙がこぼれた。
(2024年11月19日)