小学校での秋祭り、
今年もまた地域の社会福祉協議会の委員さん達が、
視覚障害者のサポート体験コーナーを開催してくださった。
僕も、地域で暮らす視覚障害者の一人として、
だいたい毎年参加している。
そして、地域の人達や子供達に、
サポートの方法などを伝えている。
この取り組みが行われるようになって、もう10年くらいになるらしい。
サポート体験をした子供や地域の人達の数は、
千人を超えるかもしれないとのことだ。
京都市内の各地域で行われているこういう取り組みが、
僕達にも歩きやすい京都につながっているのだろう。
本当に、有難いことだと思う。
このイベントを終えて、帰りに、近くのスーパーに買い物に立ち寄った。
入り口を入ったところで、
女性が声をかけてくださった。
「さっき、私の前を歩いておられましたが、
何回か、道端の木にぶつかっておられましたよね。」
ぶつかるという表現だったが、
実際には、身体の一部を何度か木にこすって歩いていた感じだった。
自分ではまっすぐ歩いているつもりでも、
曲がってしまうことは、日常茶飯事だ。
それが、見えないということだ。
「はい、何度かこすりましたよね。」
「その時だと思うのですけど、頭に、花が一輪ついています。小さな白い花。」
彼女はそう言って、僕の頭の花を取ってくださった。
「可愛い、花おじさんで歩いていたんですね。」
僕は笑った。
彼女も笑った。
たったそれだけ、それだけの会話。
人間って、いいよなぁ。
(2012年10月27日)