視覚障害者の友人やガイドヘルパーさん達が、街中で僕に気づくことがあるらしい。
白杖の音が強めでリズミカルに聞こえるとのことだ。
時々言われることがあるので音に癖があるのだろう。
先日もこの白杖の音で僕を見つけてくださった。
久しぶりに出会う先輩とガイドヘルパーさんだった。
白杖の音で僕と分かったとおっしゃった。
前回お会いしたのはいつだったのだろう。
コロナの前だったのかもしれない。
先輩は高齢になったとおっしゃったが、背筋は伸びていて話しぶりも変わっておられ
なかった。
知り合った頃から感じていた上品さもそのままだった。
僕達は特別に親しかったわけではない。
一緒に過ごした時間もそんなに多くはない。
それでも再会の喜びは特別だった。
人生の途中での視覚障害、同じように悩んだのだろう。
同じように苦しんだり悲しんだりしたのだろう。
そして同じ未来を見つめて生きていこうとするお互いを感じたのだろう。
エールを送りあったのかもしれない。
僕は二度も握手を求めた。
最初の握手は再会の喜びだった。
別れ際の握手はお互いにまた元気で頑張りましょうという意味合いだったと思う。
次、またいつどこでお会いできるか分からない。
でも、こうして心から喜べる再会ができるということは幸せなことだ。
エールを送り、エールを頂く。
人間っていいものだ。
癖のある白杖の音、これも僕の個性かな。
いいこともある。
(2024年9月1日)