関西阿久根会のイベントに誘って頂いた。
関西阿久根会は鹿児島県阿久根市出身で関西に住んでいる人達の会だ。
今回は愛知県からの特別参加もあった。
僕以外は皆僕より1歳年下の同学年の人達だった。
ひとつ間違えば招かざる客と成り兼ねない危険性もあったが、
それでも阿久根という言葉に魅かれて参加した。
小さな不安はすぐに解消された。
皆あたたかく迎えてくださった。
僕が参加することを知って、わざわざ著書を読んでくださった人もおられた。
光栄だと感じたしうれしかった。
著書に書いていた東シナ海に沈む落陽の美しさを共有した。
それは子供の頃に当たり前のように見ていた風景だった。
そんな話題などで歓談してから昼食場所に向かった。
昼食はバーベキューだった。
見えない僕は座っているだけで何も手伝いはできなかったが、おいしく食べることは
できた。
お腹いっぱい食べた。
食後のトイレも問題なく対応してくださった。
それから醍醐寺を散策した。
雨の中、僕はゆうこちゃんの肘を持たせてもらって歩いた。
僕の小学校1年生の時の担任の先生は翌年も1年生を担任されたらしかった。
僕とゆうこちゃんはたまたま同じ先生の思い出で以前から知り合いだった。
それでも数年ぶりの再会だったのだが何の違和感もなくサポートしてくれた。
おいが、はんが、うんどんが、阿久根の言葉が自然にこぼれた。
本堂も五重塔も絵画も仏像も僕には見えない。
それでも一緒に散策する時間は楽しかった。
遠足のような気分になった。
八重桜が春の終わりを告げていたし、つつじがつぼみを膨らませていた。
久しぶりに雨の似合う風景に出会ったような気がした。
記念写真には僕も笑顔で参加した。
途中幾度も思った。
ここにいる人達はほとんど同じ時代にあの阿久根の風景を見ていたのだ。
それだけでどこかに同じDNAがあるような気になった。
故郷の不思議な糸を感じた。
今見えていても見えていなくても、思い出す風景があるということは幸せなことなの
だろう。
それも最高の風景だ。
また機会があれば参加させてもらえたらと思った。
(2024年4月22日)