毎年この季節になると同志社女子大学にあるチャペルでの講話の依頼がくる。
礼拝の中でのわずか8分間の講話だ。
今出川キャンパスと田辺キャンパスの二か所だ。
僕はどちらもそこに行くことそのものがうれしい。
今出川キャンパスは栄光館という歴史のある建物の中にチャペルがある。
新島襄の奥様の新島八重の葬儀が執り行われた場所だ。
ヘレンケラーさんが京都に来られた時に講話をされた場所でもある。
そんな歴史のあるチャペルでの礼拝に参加できるだけでうれしいのだ。
いつも身が引き締まる感じになる。
田辺キャンパスは新島記念講堂が会場だ。
このチャペルは屋根に十字架がある近代的な建物だ。
入り口には大きなもみの木のクリスマスツリーがある。
ポインセチアの鉢植えがそれを囲んでいる。
僕も準備されてあったオーナメントを飾る。
千人収容のホールにはフランス製のパイプオルガンがある。
ステージの向かい側の高い場所にあるらしい。
生演奏の音はそのままホール全体に降りてくる。
前奏、讃美歌、後奏、粉雪のように音が降りしきる。
荘厳な空気に包まれる。
僕はクリスチャンではないのだけれど音色が身体に溶けていく。
魂が洗浄されていく感覚になる。
礼拝を終えて外に出た。
ふと空を見上げた。
冬枯れの透き通るような蒼い空を感じた。
この空がこの星を囲んでいると思った。
心が痛んだ。
今この瞬間も戦争が続いている。
何もできない自分の無力さも理解できている。
でも、やっぱり、自分達だけが平和であることをうれしいとは思えない。
祈る。
それは僕にもできる。
だから、空を見上げて祈った。
(2023年12月20日)