後祭りの宵山は想像したよりも少ない人手だった。
時間が早かったからかもしれない。
僕はガイドの学生とゆっくりと歩いた。
京都で45年くらい生活したが祇園祭に出かけたのは10回くらいだと思う。
そのうちの数回は見えている頃だった。
だから山鉾や提灯の風景などがうっすらと記憶にある。
笛と太鼓、それに鐘の織りなす音色はまさに夏の風物詩だ。
コンチキチン、コンチキチン。
何百年も受け継がれてきた音だ。
狭い路地を老若男女、多国籍の人達が行き交う。
それぞれが譲り合いながらすれ違う。
白杖の僕に気づいて立ち止まってくださる人も多い。
そこに存在するのは平和な世界だ。
祭りを楽しむ人達に国境はない。
この同じ地球で今も戦争が続いている。
胸が締め付けられる。
コンチキチン、コンチキチン。
天まで届け。
(2023年7月23日)