視覚障害者施設の七夕会に参加した。
司会も利用者の視覚障害者の人達が受け持っていた。
それぞれに緊張しながらも一生懸命やっているのが伝わってきた。
プログラムの前半はボランティアさん達の朗読だった。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の朗読が進むにつれ会場が聞き入っていくのが分かった。
ゆっくりと静かに時間が流れた。
それからティータイム。
それぞれの席にレモンケーキがひとつ、そしてビスケットの小袋がひとつ配られた。
インスタントコーヒーがプラスチックのカップに注がれた。
限られた予算、限られたスタッフ、ささやかさの中には精一杯の思いがあった。
おいしく頂いた。
その後のゲームはグループ対抗だった。
ステージのテーブルには重さが違うペットボトルが4本並べられた。
各グループ代表の選手は30秒でそれを軽い順番に並べていくのだ。
ペットボトルの中の水の量は見た目ではあまり変わらないくらいに微妙な違いだとス
タッフの人が教えてくださった。
選手は全盲の人も弱視の人もいるので公平にするために全員アイマスクだった。
結果、6チーム中1班と4班が見事パーフェクトだった。
でも賞品が1グループ分しかなかった。
今度は1班と4班の次の選手がジャンケンをした。
白熱の中で4班が勝った。
ちなみに僕も4班だったから賞品の箱ティッシュをひとつ頂いた。
それから全員が舞台に集まった。
僕は隣の席の弱視の女性にサポートしてもらって動いた。
皆で七夕を歌った。
「お星さまキラキラきんぎん砂子」
お星さまを見たことのない人も大きな声で歌った。
金色も銀色も見たことのない人もうれしそうに歌った。
僕も歌った。
年齢も様々、生まれた場所も育った場所もバラバラ、障害になった理由もいろいろだ
った。
見えない人、見えにくい人、この社会では行き辛いのが唯一の共通点だった。
そして仲間だった。
短冊には書けないけれど、それぞれの願いが天まで届きますようにと僕は願った。
(2023年7月8日)