子供の頃は注射が大嫌いだった。
たまたまだったのだが、採血がどんなに怖いことかと幼馴染が話してくれたことがあ
った。
小学校高学年の頃だった。
それから一か月もしないうちに僕は実際に採血をすることになった。
病院で泣きわめきながら暴れまわったのを憶えている。
連れて行ってくれた母親も病院関係者も大変だった。
小学校高学年だったから不通なら少しは分別もあったはずだ。
幼馴染の話が強烈だったのだろう。
大人になって流石に暴れまわることはなくなったが注射が苦手ということは変わらな
かった。
画像から注射器を遠ざけるような感じがあった。
見えなくなってからいつの間にか注射が怖くなくなった。
年齢を重ねたからなのかもしれないが、画像がなくなったことも大きい理由のような
気がする。
「チクリとしますよ。」
お医者さんはそう言いながら僕の肩に注射針を刺された。
確かにチクリだった。
このチクリにどうしてあんなに怯えたのだろう。
見えることが必ずしもいいということではないのだろう。
見えなくなってから高所恐怖症もなくなった。
これもきっと画像のせいだ。
とにかく無事コロナワクチン6回目が終了した。
発熱に備えて休日前に接種した。
作戦成功という感じかな。
のんびりしてまた月曜日から頑張ろう。
(2013年6月17日)