無理だと頭では分かっている。
飛び出してきそうになる我儘な気持ちを押さえることもできる。
それでもやっぱり見たいと思う気持ちが僕を苦しめる。
僕をあざ笑う。
いい加減にしなさいと僕が僕に言う。
そしてその情けない自分自身をどこかで愛おしく感じていることに気づく。
弱虫は子供の頃とちっとも変わらない。
刹那的な生き方もずっと変わらなかった。
代わったのは一人で飲み込めるようになったということなのだろう。
納得するために触る。
指先の神経に集中する。
そっとそっと幾度も触る。
暴れそうになっていた心が少しずつ平穏を取り戻していく。
薄いピンク色が静かに脳に生まれる。
少しずつ少しずつ脳を包んでいく。
やがてピンク色が充満する。
そのピンク色がブルー色の空を背景にやさしく微笑む。
僕も微笑み返す。
帰りに桜餅を買って帰ろうとふと思う。
(2023年3月30日)