久しぶりに映画を見に出かけた。
映画館の中の移動は大変だからガイドヘルパーさんにお願いした。
ガイドヘルパーさんは資格をとったばかりの高校2年生の女の子だった。
まだまだ上手とは言えない技術だったが一生懸命にガイドしてくれた。
見えない僕が見るという言葉を使うのは違和感があるかもしれない。
でも映画は見るものだ。
いや、正確には観るものかな。
僕のスマホにはハロームービーというアプリを入れてある。
そこには音声ガイド付きの映画が紹介されていてデータをインストールできるように
なっている。
その中から見たい映画を選ぶのだ。
今回は新海誠監督作品の「すずめの戸締まり」を選んだ。
映画が始まるとスマホのイヤホンから僕にだけ音声ガイドが流れてくるのだ。
僕の想像する画像と実際の画像は違うかもしれない。
いや違うだろう。
見えないということはその確認も永遠にできないということだ。
でもそれは実際にはどうでもいいことだ。
見える人達と同じ空間で同じように映画を楽しめればいいのだと思う。
以前、新海誠監督作品の「天気の子」を見た時にとても難解だった。
話題になった「鬼滅の刃」もそうだった。
アニメの場面展開は早過ぎて、僕の脳がそのスピードについていけないのかもしれな
いと思った。
今回はストーリーなどを事前学習してから映画館に出かけた。
作戦は成功だった。
それなりに味わうことができた。
見えなくなって25年が過ぎたのだから僕の記憶はもう昔と言っていいだろう。
きっとスクリーンには僕の知らない美しい映像があるのだろう。
ちょっとドキドキ、ワクワクする。
それから映画館の音響はいい。
今回の映画の中で大学生がナツメロを聞きながら車を運転するシーンがあった。
ユーミン、松田聖子、井上陽水が流れたのには驚いた。
エンディングはまさに今風の楽曲だったがそれもじんわりと良かった。
雨のように天井から降ってくる音が心に染み込んでいくのだろう。
いろいろなことを含めてやっぱり映画はいい。
趣味はと尋ねられると映画鑑賞ですと答えることが多い。
映画が好きってことだろう。
次は何を見にいくか楽しみだ。
(2023年3月27日)