白杖を使って歩きながら寒いとか暑いとか感じる日はある。
気温、湿度、風の向き、強さ、いろいろな条件で感じるのだと思う。
あらかじめ知り得た天気予報の情報でそう感じる時もあるのかもしれない。
この季節は白杖を握る手の冷たさでそう感じることもある。
そして歩きながらふと気づく。
耳たぶに当たるお日様のぬくもりだ。
柔らかな光の中に熱を感じる。
そして集中するとそのお日様の光の力を感じる。
秋の日だまりとは少し違うような感じがする。
そしてちょっとうれしくなる。
お日様の方に顔を向ける。
そっと視線をあげる。
無意識に深呼吸をする。
光が恋しくて目頭が少し熱くなったりする。
悲しいわけでも辛いわけでもないのに変な感じだ。
もう25年も経ったのに往生際の悪さに情けなくもなる。
そして情けない自分をどこかで許してしまう僕がいる。
春まだ遠し、笑みがこぼれる。
(2023年2月13日)