プレゼントに頂いた網の袋には12個の球根が入っていた。
チューリップの球根だった。
球根を触ったのは見えなくなってからは初めてだった。
僕の手は愛おしそうにそれを触った。
球根の形状を確かめるように指が動いた。
それから薄茶色のはずの皮をやさしく撫でた。
そこに眠っている命を今更ながら不思議に感じた。
庭の片隅にスコップで穴を掘った。
指先で球根の上下を確認しながら植えていった。
春になったら何色の花が咲いてくれるのだろう。
ワクワクしている自分に気づいた。
始まったばかりの冬空を眺めた。
光を恋しいと思った。
(2022年12月6日)