いつの間にかラジオの放送に引き込まれていた。
気持ちだけは甲子園に出かけていたのかもしれない。
昔見たあの青空の下のグラウンドが蘇る。
金属バットの快音が夏空を飛んでいく。
アルプスの歓声が大波のように押し寄せる。
野球の神様は無情に微笑む。
帰らない時間が過ぎていく。
ゲームセットのサイレンの音が流れる。
目頭が熱くなる。
最後まで全力でプレーした選手達に拍手までしてしまう。
ありがとうと言いたくなる。
ここまで心を揺さぶられるのはどうしてなのだろう。
勝てなかった僕自身の人生と重なるのかもしれない。
三振ばかりしてきたような気がする。
エラーも多くあった。
それでも精一杯やってきたと自分を納得させているのだろうか。
起死回生のホームランは僕には無理だ。
ただ最後まであきらめないでプレーすることは僕にもできるかもしれない。
いやそうしていきたい。
(2022年8月21日)