教え子からのメールで一日がスタートした。
ジャガイモと玉ねぎを収穫したので食べるかとの質問だった。
僕は欲しいと即答の返信をした。
専門学校ではいろいろな世代の人達が学んでいる。
社会人経験者もいるし志望動機も多種多様だ。
時には僕より人生の先輩がいらっしゃることもある。
講義をするという立場なので先生と呼ばれるがまさに立場上だ。
同じ時代にそれぞれの人生を重ねてきたのだからこちらが教えられることも多い。
彼は僕よりは年下だ。
現在農業をしながら学びを続けている。
多忙な学生生活だがその傍ら趣味の山歩きも楽しんでいる。
若い学生達や留学生達とも流石の距離感で信頼されているのを感じる。
おっちょこちょいの僕は時々そういう人を羨ましく感じることがある。
授業が終わっての昼休み、彼はジャガイモと玉ねぎの袋を僕にそっと渡すと講師室を
出ていった。
そのさりげなさも素敵だなと感じてしまう。
午後の大学への移動、そこからの帰路、リュックサックが重たかった。
幸せの重さだなと思った。
重たさを感じる度に笑顔になった。
近日中にカレーライスを食べようと決めた。
そしてまた笑顔になった。
(2022年6月10日)