この春はいろいろな事情で整理整頓の日々となっている。
押し入れの奥に眠っていた宝物と時々出会う。
なんでもなかったものが歳月を経て宝物に代わっていることに気づく。
今日はダンボール箱の隅っこにあった卒業アルバムを見つけた。
阿久根小学校、阿久根中学校、川内高校のものだ。
小学校の時のものが一番小さくて薄い。
その次が中学校、高校の順番だ。
大学時代のは残っていない。
そもそも卒業アルバムみたいなものがあったのかさえ記憶にない。
小学校や中学校のアルバムを手にとると近所の幼馴染や同級生の顔が蘇る。
ただその数は少ないし写真もセピア色だ。
高校になると思い出の写真は一気に増える。
一緒に遊んだ友人達の顔が活き活きと蘇る。
笑い声までが聞こえてくるような気になる。
自分の顔、ラグビー部のジャージ姿まで鮮やかに蘇る。
そしてふと気づく。
もうこの世を去った先生方、友人が何人もいる。
アルバムの表紙をそっと撫でる。
理屈で言えば、もう見ることのない僕には意味のないものなのかもしれない。
そんなことは分かっている。
でも捨てるなんてできない。
またそっとダンボール箱に戻す。
ため息の後、閉じた瞳をそっと開けてみる。
(2022年3月14日)