人とのつながりが次のステップに向かう力となることがある。
僕の活動は特にそれが大きいのかもしれない。
40歳で失明し再び人生を歩き出した時、僕は無力だった。
社会的な立場もなく職業もなく向かう方向も分からなかった。
手探りで、いや白杖探りで必死に歩いてきた。
僕の努力不足もあっただろうし能力がなかったのも勿論ある。
それでも社会そのものに大きな壁があったのも間違いないことだと思う。
そしてその僕に力を貸してくれたのもその社会だった。
社会で生きている人間のやさしさだった。
今回もふとしたきっかけでつながった二人の男性が話を聞いてくださった。
不通では出会うことさえ難しいような立場におられる人達だ。
社会の第一線で活躍され続けておられるお二人、
社会に参加することさえ難しかった僕、滑稽な絵面かもしれない。
40歳の頃の僕だったら戸惑って下を向いていただろう。
でも今は不思議とそれはない。
勿論緊張感はあるのだが基本的には平常心だ。
白杖を握りしめて必死に歩いてきた自分自身を僕は嫌いにはなれなかったということ
なのだろう。
いやちょっと好きになっていったのかもしれない。
1時間の歓談は楽しかった。
同世代の男性3人、それぞれの夢を抱いて使命感を持って生きてきたのだ。
そしてそれぞれが等しくそれぞれの人生を愛おしく感じているのだと思った。
出会いがどれだけ次につながるか、それは運もあるから分からない。
でもそれはたいしたことではない。
こうして過ごせた時間に深く感謝しながら帰路に就いた。
(2022年2月18日)