カイロを使うことは滅多になかった。
あまり好きではなかったのかもしれない。
寒い日の研修の時に学生からマグマという名称のカイロを紹介された。
温度が高く設定されていると触らせてくれた。
確かに熱いくらいにあたたかかった。
ネーミングもインパクトがあってすぐに憶えた。
別の買い物でドラッグストアに立ち寄った時にたまたまマグマを見つけた。
雪の日だけ使おうと思って10個パックをひとつだけ買った。
けちんぼの僕が使い捨てのものを買うのはとても珍しいことだと思う。
しかも他よりちょっとお高めのプライスだ。
よっぽど何か魅かれてしまったのだろう。
雪の散らついた日にひとつだけポケットに入れて出かけた。
次の時から左右のポケットに入るようになった。
天気予報が朝の気温が5度以下の日は持つようになった。
結局毎日使うようになった。
とりこになるってこんなことを言うのだろう。
最近は貼るタイプのものを背中にひとつ貼るということも覚えた。
朝の身支度のひとつになってしまった。
毎日3個使うのだから結構な消費量だ。
計算をするとつい悔しくなるがもう手放せない。
帰宅してまだあったかいカイロを捨てることができない。
もったいないと思ってしまう。
寝る時に一緒に布団に入っている。
これだけ使えば元をとれるとわけのわからない納得もしている。
その納得に健気さまで感じてしまう。
まあいいか。
あたたかいのは幸せ気分ってことかな。
(2022年1月27日)