視覚障害の友人から届いたメールには雪灯篭のことが書いてあった。
積もった雪をバケツに入れて固めて二つつなげるらしい。
その片方をくりぬいてそこにロウソクを立てるのだ。
雪景色の中でのロウソクの明かり、想像しただけで引き込まれていく。
凛とした空気の中でロウソクの炎が静かに揺れる。
美しさの極限だ。
ふと、22歳の冬を思い出した。
同居していた男友達と横手のかまくらを見に行ったことがある。
泊まるところもなくお金もなかった。
それでも友達は突然言い出した僕のわがままに付き合ってくれた。
当時は夜の鈍行列車があったので実現できたのだろう。
僕達は夜の横手を歩きながら、かまくらのロウソクの明かりに目を奪われた。
心を奪われた。
その景色は僕の人生のアルバムの大切な一枚となっている。
今年、その友達はこの世を去った。
今年はたくさんの訃報に接した一年だったと思う。
青春時代の友人、見えて働いていた頃の同僚、見えなくなってから出会った仲間、先
輩、ボランティアの方・・・。
もう会えなくなった人達は皆やさしい思い出の中にいる。
楽しかったことばかりではないはずなのに不思議だ。
数が増えたと感じるのは自分自身が人生の後半を生きているということなのだろう。
そして今年もまた新しい出会いもあった。
それぞれの出会いに心から感謝したい。
それから、このホームページを覗いてくださった皆様にも心から感謝したい。
そして、迎える新しい年を僕らしく生きていきたいと思う。
そんなに数は望まないけれど、アルバムの写真が一枚でも増えればと願う。
(2021年12月31日)