講演会場は体育館だった。
中学1年生、12歳13歳の生徒達が対象だった。
約80分のたった一度の出会いだ。
僕は精一杯の心を込めて話をした。
視覚障害を理解してもらうという大きな目的がある。
でもそれだけではない。
生きていく中で出会う失敗や挫折、悲しみ、苦しみ、
そしてそれをあきらめていく力、そんなことも伝えたいといつも思っている。
どんな環境の中でも人は幸せを夢見て生きていける。
僕がたくさんの仲間達から教わったことだ。
生徒達は真面目に話を聞いてくれた。
質問も多くて時間が足りないくらいだった。
講演が終わって担当の女子生徒二人が僕を校門まで送ってくれた。
講演の前と比べると、そのサポートはとても上手になっていた。
寄り添う気持ちが上達させたのだろう。
僕は記念の点字名刺を渡してお礼を伝えた。
「気をつけて帰ってください。」
二人は素敵な笑顔だった。
(2021年11月21日)