尋ねた学生は驚いた感じだった。
家族に爪切りをしてもらっていると思っていたらしい。
何の疑いもなくそう思っていたらしい。
どうやって服を着るのですか?
お風呂はどうしてるのですか?
どうやってご飯を食べるのですか?
小学生の質問に時々ある。
きっと見えないことへのイメージだろう。
これは仕方のないことだ。
爪切りを質問してくれた大学生も出発は同じ感覚なのだろう。
見えなくなったら何もできなくなる、
実は、僕自身も見えなくなる時にそんな風に思った。
光も感じなくなって20年以上の時間が流れた。
確かにできなくなったことも多くある。
でも、努力や工夫でできることもある。
人の目を借りて、機械の力を借りてできることもある。
それを正しく伝えていくことは大切なのだろう。
白杖を使っている人は全盲だとか、
見えない人は皆点字が読めるとか、
誤解は障壁となっていくことがある。
その先には特別な能力の持ち主みたいになってしまう危険性さえある。
僕は手の指も足の指も爪は自分で切っている。
京都市内の有名な刃物屋さんの爪切りを使っている。
切れ味抜群だ。
僕の友人には、やすりを使っている人もいるし、電動やすりという人もいる。
家族にお願いしているという人もいる。
いつ、どうして、見えなくなったのかによっても違うだろう。
どれくらいの時間が流れたのか、元々器用な人なのか、それも影響するだろう。
そして、それはたまたまそうだというだけのことなのだ。
自分でできる人は凄いという意見もあるが、それは少し違うような気がする。
ちなみに、僕は触覚で確認しながらなので、いつも深爪だ。
切り終わって触ってみて少しでも指から出ていたら切ってしまう。
いつの間にかどんどん深爪になってしまった。
違和感を感じないということは、深爪が好きなのかもしれない。
(2021年10月17日)