同行援護研修が舞鶴市で開催された。
受講生は舞鶴市内だけではなく周辺の地域からも参加されているとのことだった。
日本中でガイドヘルパーさんが僕達視覚障害者の日常を支えてくださっている。
僕は当事者の講師としてこの制度の大切さと感謝を伝えた。
帰路に予定していた特急電車はコロナ禍での減便対象となってしまっていた。
仕方がないので普通列車を3回乗り継いで帰ることになった。
僕は普通列車は好きだ。
それぞれの地域の香りがある。
故郷なまりの乗客の会話も楽しい。
若い頃は経済的理由だけではなく、そこに魅かれてよく乗車した。
ただ、見えなくなってからは単独で乗り換えができないという現実がある。
今回も3つの駅で駅員さんのサポートを受けることになった。
二つ目の乗換駅の駅員さんは声が若かった。
乗り換え時間も10分程あったので自然に会話も生まれた。
18歳の今年の春に入社した駅員さんだった。
いろいろな会話の後、僕は尋ねてみた。
「鉄道が好きで駅員さんになったのですか?」
「嫌いではないですけど、特別に好きということもありません。
誰かの役に立つ仕事をしたいと思っていました。」
彼はちょっとはにかみながら応えてくれた。
「ありがとう。頑張ってくださいね。」
午前中の受講生の皆さんとの時間が重なった。
いろいろな人達のいろいろな力が集まって社会が成り立っている。
仕事って、誰かの幸せを支えるものなのだ。
その中で僕も生きていける。
当たり前のことに改めて感謝しながら次の電車に乗り込んだ。
そして、僕もそんな仕事をしていきたいと思った。
(2021年9月3日)