視覚障害者ガイドヘルパーをしている彼女の声は、
一日の仕事の疲れとは裏腹に、とても爽やかだった。
利用者と、送り火の護摩木の奉納に行ってきたとのことだった。
利用者のご家族の戒名を、耳で聞いて、
携帯電話で、一文字ずつその漢字を確認しながら、
護摩木に代筆するのは、結構大変だったと微笑んだ。
その微笑には、仕事を通して利用者の真心に寄り添えた、
ガイドとしての満足が感じられた。
昨年から実施された同行援護という福祉サービスは、
従来の、移動支援に加えて、代読代筆などの情報提供が保障されるようになった。
僕達の社会参加を考えると、大きな進歩だ。
目が見えなくても、見える人と同じように、
この街の慣わしに参加できる。
素晴らしいことだと思う。
今夜も、好天に恵まれて、五山が燃えた。
彼女がガイドした利用者の思いも、きっと、天に舞い上がったのだろう。
送り火が消えて、今年の夏も、半分が終わった。
(2012年8月16日)