子供の日に届いた宅急便は僕を子供の頃に連れて行ってくれた。
故郷のともだちが故郷の香りをあれこれと送ってくれたのだ。
うるめいわし、海苔、キビナゴ、東シナ海で捕れたものだった。
げたんは、スズメのたまご、子供の頃のお菓子もあった。
粽にはちゃんと黄な粉も添えられていた。
海苔巻きおかきは故郷には関係ないが僕の好物と知ってのことだろう。
鹿児島の新茶に合わせてくれたに違いない。
阿久根で収穫されたソラマメもあった。
名物のラーメンもあった。
まるでおもちゃ箱から出てくるようだった。
童心に帰るってこういう感覚のことなのだろう。
少年時代を一気に思い出した。
映像でもなく音でもなく、空気を思い出したのだ。
少年時代の空気に包まれていくようだった。
懐かしくてぬくもりのある空気だった。
ひょっとしたら、おもちゃ箱の隅っこに空気も入れてくれていたのかもしれない。
さすがともだちだなと僕は微笑んだ。
(2021年5月6日)