真新しい白杖で散歩してみた。
新年度の明日からデビューする白杖だ。
重さはこれまでで一番軽いし、グリップも細目だ。
使い心地がどうなのかの予行演習で歩いてみた。
白杖の先の樹脂の部分がまだ馴染んでいないので路面のあちこちにひっかかる。
握った感じも左右に振った感じも少し物足りない。
軽いせいなのかもしれない。
歩きながら、きっと日に日に慣れていくのかな。
期待の気持ちに少しの心配も重なる。
コロナ禍の社会はまだまだ続くのだろう。
すべての人がマスクを装着して歩いている社会、画像を想像するのは僕には困難だ。
見たことがないということからくる困難さなのだろう。
ただ、映画の世界でもなくSFでもなく、現実がそこにあるのだ。
見えない僕はどう向かい合い、どう生きていけばいいのだろうか。
朧げな不安はある。
未来を見つめて一歩ずつというのはきっと変わらないことなのだろう。
変わらないことであって欲しい。
新しい白杖のグリップを強く握ってみる。
白色がキラキラと輝いている。
新年度もまた頑張っていこうと素直に思う。
(2021年3月31日)