今日は出かける用事はなかった。
自分の部屋で音楽を聞きながらパソコンに向かっていた。
14時40分を知らせるアラームが鳴り響いた。
今朝セットしたものだった。
僕はグーグルホームにNHKラジオ放送の受信を指示しながら立ち上がった。
北の方向に向き直ってから気を付けをした。
そしてラジオから流れた時報に合わせて黙祷した。
その日、その時、僕はライトハウスの喫茶室にいたことを思い出した。
コーヒーを飲みながら休憩していた。
お気に入りの携帯ラジオのイヤホンを耳に入れていた。
突然、地震のニュースが飛び込んできた。
尋常ではないことが最初の報道から感じられた。
それでも、その後の津波や原発事故までの想像力はひとかけらも僕にはなかった。
たった一分間の黙祷の間に津波が襲ってくる映像が脳裏に浮かんだ。
見てはいない筈なのに浮かんだ。
そして亡くなられた方々のご冥福を心から祈った。
次の10年間をどう生きていくのか、それはきっと僕にも課せられた命題なのだろう。
黙祷が終わって目を開けた。
「今日はきっと一日中、雲一つない青空でしょう。」
今朝の天気予報を思い出した。
ほんの少し、救われたような気がした。
与えられた命をしっかりと生きていこうと思った。
(2021年3月11日)