立春なのにまだ寒いなと思いながら歩き始めた。
気温は3度だった。
8時半を過ぎていたので朝日はもう昇っていた。
しばらく歩いてすぐに気づいた。
やっぱり春が始まったのだ。
気温3度は冬と同じ数値なのだが感じる光は違っていた。
僕の目では光の明るさなどは分からない。
僕の身体全体が光を感じてくれたのだ。
光が包んでくれたのかもしれない。
光の中にしっかりと熱が含まれていることに気づいたのだ。
冬の光とは少し違う熱だった。
夏のような強烈さはないのだけれど、存在感のある熱だった。
その光が降り注いでいた。
音もなく気配もなく降り注いでいた。
草にも木々にも土にも、そして僕にも降り注いでいた。
僕はうれしくなった。
身体の中にエネルギーが充電されていくような感覚になった。
草も木々も土も今エネルギーを蓄えていっているのだろう。
冬の後には必ず春がくるのだ。
当たり前のことを何故かとてもうれしく感じた。
満開の春が待ち遠しくなった。
(2021年2月4日)