同志社女子大学宗教部から奨励依頼が届いた。
耳慣れない言葉だが、教会のお祈りの際に少し話をして欲しいとのことだった。
本来は牧師様やいろいろな先生方が話をされるのだろう。
僕なんかおこがましいというのが本音なのだがその場所に魅かれてお引き受けした。
1932年に建てられた栄光館チャペルがその場所だった。
新島八重さんの葬儀もここでおこなわれたという歴史のある登録文化財だ。
ヘレンケラーさんが来日した際の講演会場にもなった。
その場所が過去のものではなく現在も脈々と息づいているのだ。
栄光館に足を踏み入れるとパイプオルガンの荘厳な音色が漂っていた。
僕は心を落ち着けてから少しだけ話をした。
ささやかでいいから僕の人生の喜びを伝えられればいいと思った。
誰かに聞いてもらうとかではなく、自分自身に話しかけているような感じがした。
不思議な満足感を感じた。
講演が終わって、宗教部の職員の方が最寄り駅までサポートしてくださった。
冬枯れの空を眺めながら歩いた。
帰ったら彼からお礼のメールが届いていた。
「いつもお支え頂いてありがとうございます。」
という言葉で始まる挨拶文だった。
素敵な表現だと思った。
そして僕自身もその思いを忘れてはいけないのだと強く思った。
(2020年12月8日)