出かける前にはいつものリュックサックの中身を確認する。
携帯用白杖、点字付きの名刺、ありがとうカード、ポケットワイファイ、それに消毒
用アルコールスプレー、予備のマスクなどが入っている。
小学校に行く時は、それにキーホルダー型音声時計と点字トランプと著書の「風にな
ってください」を加える。
自分で自分の著書を買うのはちょっと変な感じだが、今年から出会う子供達にプレゼ
ントすることに決めたのだ。
毎回1冊だけ学校の図書室に置いてくる。
今回はそれに点字器を30個持っての移動だった。
子供達が点字の体験をしたいという希望があったからだ。
点字器は別のカバンで手に持ったが結構重たかった。
おまけに電車が遅延で混んでいて大変だった。
なんとか開始時刻には間に合った。
3クラスの子供達が体育館に集まって話を聞いてくれた。
それからそれぞれのクラスで点字学習をした。
給食を挟んで1時限目から5時限目までハードだった。
それでもちゃんとやっているのだから体力はあるのだろう。
子供達と過ごす時間が豊かで楽しいせいなのかもしれない。
小学校の帰路、ライトハウスに立ち寄った。
レンタルの点字器を返し、自分用の点字用紙を購入するためだった。
販売コーナーでは友人の全盲の女性が働いていた。
「ブログ、いつも楽しみに読んでいますよ。あるあるって教官してます。」
会うなり彼女は笑顔でそう言ってくれた。
僕は一日の疲れが一瞬で消えたような感じになった。
うれしかった。
先日も横浜の視覚障害者の友人が同じようなことを言ってくれた。
仲間に共感してもらうというのは一番うれしいことのような気がする。
それはそのまま、書き続けるエネルギーにもなっているような気もする。
2012年にスタートしたブログがもうすぐ100万アクセスになる。
信じられない数字だ。
支えてくださったすべての人達に感謝したい。
見える人、見えない人、見えにくい人、すべての人に。
(2020年11月12日)