いつも近くにおられたわけではない。
しょっちゅう会っていたわけでもない。
それでもいつも視線を感じていた。
見守ってくださっている視線を感じていた。
暖かな視線だった。
親父に抱いていたのと同じような感情が僕の中にある。
血縁でもないし恩師でもないし上司でもない。
突き詰めれば他人に違いない。
それでも人間同士はここまでの思いになれるのだ。
さりげないやさしさは出会ってからずっと変わらない。
冗談を交えながら教えてくださったことは数えきれない。
信念を持って生きておられる姿を素敵だと感じるようになっていった。
その背中に憧れたのかもしれない。
体調を壊されていると知った瞬間、僕は動揺した。
情けないくらいに動揺した。
僕は僕なりに祈った。
僕は僕なりに願った。
コロナが落ち着いたら必ず一緒に食事をする。
(2020年10月27日)