子供の頃から、10月10日は晴れるのだと思っていた。
東京オリンピックが開催された日で体育の日だった。
テントに敷かれたゴザに体育座りをしながら万国旗を見上げた。
グランドに引かれた白線、流れるマーチ、空はいつも笑ってた。
見えなくなってからは走ることはなくなった。
50歳の時に故郷で開催された卒業生のイベントの運動会が最後だったと思う。
小学生の肘を借りて走った。
あれからまた10年以上の時が流れた。
相変わらず白杖で京都の街を歩いている。
白杖で走ることはできないけれど、僕は僕ののろまさで歩いている。
元気で歩いているのは幸せなことだ。
今年の10月10日は雨の中だ。
空は大泣きしている。
神様だって鳴きたくなる日もあるんだな。
そうそう10月10日は目の愛護デー。
風景を見ることはできなくなったけれど、しっかりと前を見て歩いていきたい。
時の流れを見つめながら生きていきたい。
(2020年10月10日)