友人から新米が届いた。
お茶碗を持って、炊き立てのごはんの香りを嗅いだ。
鼻をくんくんさせて香りを嗅いだ。
それからただごはんだけを口に運んだ。
噛むほどにごはんの甘さが口中に広がった。
キラキラト輝く真っ白なごはんを思い出した。
幸せな気分になった。
黄金色に輝いていた稲穂の波も蘇った。
美しい景色はいつまでも心に残っているものなのだ。
風景だけがゆっくりと脳裏をかけていった。
静かに鮮やかにかけていった。
僕はまた口を動かしてごはんを味わった。
もう一度あの黄金色に輝く稲穂の波を見てみたい。
真っ青な秋空の下で見てみたい。
素直にそう思った。
(2020年10月1日)