ラジオをBGMにしながらパソコンのキーをたたいていた。
ふと流れてきた映画音楽に手が止った。
「ある愛の詩」、フランシスレイの作曲だ。
エリックシーガルの原作の文庫本を幾度も読んだ。
サントラ盤のLPレコードを擦り切れるほど聞いた。
どの場面でどの音楽が流れたかまで憶えていた。
久しぶりにいくつかの場面が脳裏に蘇った。
蘇るのに映像は意味がある。
最近、副音声の付いた映画を鑑賞できるようになった。
結構楽しんでいる。
でも、映画で流れていた音楽を聴いても蘇らせるのは難しい。
それは映像がないからだろう。
ないものねだりをする気はないし、仕方がないとあきらめている。
ただちょっと寂しいのは事実だ。
どんなに脳が理解をしても、その脳で心までを納得させるのは難しいことなんだな。
煩悩を振り払って、またパソコンに向かう。
(2020年9月2日)