「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
さわさわという言葉はスワヒリ語でそういう意味だった。
立ち上げに力を貸してくださったアフリカの研究者が教えてくださった言葉だった。
終わる日を決めてから、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」という言葉のやさしさをあ
らためて噛み締めた。
見えにくさが大きくなっていった頃、不安も悲しみも挫折感もあった。
見えなくなった時、どこか遠くへいってしまうような淋しさを感じた。
悲しい人と淋しい人が出会ったはずなのに、
そこには微かな笑顔が生まれた。
人間が集まればいろんなことが起こる。
時には意見の相違もあったし、迷走もした。
それを含めての居場所だったのだろう。
他人と出会いながら、自分自身をそれぞれが見つめていった。
自分自身をもっと好きになれた空間だったのかもしれない。
そして、たくさんの人達が応援してくださった。
応援はみんなの生きる力に変わっていった。
8年という歳月が織りなした絆はいつまでも続いていくような気がする。
それぞれの心の中で生き続けていくような気がする。
僕自身は素直に力不足だったと思う。
理事長とは名ばかりの存在だったのかもしれない。
それでも、最後の日に立ち会えたことを心から幸せだと思う。
皆様、本当にありがとうございました。
(2020年7月1日)