カエルの鳴き声に足が止まる。
美しいハーモニーではないのだけれど何故か心が落ち着く。
雨に濡れた緑色が頭の中に広がる。
つかの間の想像は僕をアジサイの花畑にまで招待してくれる。
ピンクの花弁よりもブルーの花弁が好きなことに気づく。
目を凝らせばカタツムリが乗っかっている。
雨上がりの空の下、もう60年以上も生きてきたのだと改めて思う。
頑張って走ってきたつもりだったけれど、カタツムリくらいだったのかもしれない。
カエルみたいに鳴いてきたのかな。
季節はその時々の色合いで包んでくれていたことに気づく。
うれしくなる。
ほっとする。
そっとマスクをずらして深呼吸する。
(2020年6月15日)