いつもの道をいつものように歩いていた。
幅2メートルくらいの道だ。
突然頭頂部が何かに当たった。
僕は立ち止って手で確かめた。
やっぱり葉っぱだった。
昨日も一昨日も歩いたが気づかなかった。
いや、存在していなかった。
木の葉が成長した重たさで枝がほんのわずか垂れ下がったのだ。
数ミリかもしれない。
散歩の人は元より、僕の横を通り過ぎていった車の運転手さん、
追い越していった自転車の人、
きっと誰も気づいていないだろう。
はしゃぎまわっていた小鳥達さえも気づいていないだろう。
世界中で僕だけが気付いたのかもしれない。
宝物を探し当てたような気分になった。
僕は葉っぱをそっと鼻に近づけた。
緑の匂いはわからなかったけど、生き生きとした緑の触感は感じた。
小さな幸せ、大好きです。
(2020年5月12日)