クール宅急便で届いたのはタケノコだった。
朝掘りのタケノコを焚いてくださったのだ。
早速頂いた。
取り立てならではの柔らかさが丁度いい歯ごたえになっていた。
この季節ならではの苦みを舌先が見つけた。
苦みは遠慮がちに口中に少しずつ広がった。
添えられた山椒の葉の香りがすべてを引き立てた。
春の緑色の風景をなんとなく想像した。
生まれ育った日本が好きなのだと思った。
「頑張れよ。」
届けてくださった先輩夫婦の声が聞こえるような気がした。
見たことはないはずなのにぼんやりと顔まで思い出した。
お二人とも笑顔だった。
いつも変わらないやさしい生き方を素敵だと感じた。
こんな時期だからかもしれないが、僕もそうありたいとつくずく思った。
(2020年4月13日)