故郷の川内高校の後輩と鴨川沿いを歩いた。
後輩と言っても彼は25歳だから孫みたいなものだ。
たまたま僕達はそれぞれの大学時代を京都で過ごしたのだ。
ふとしたきっかけで彼と出会った。
縁があったのだろう。
40年前、確かに僕は鴨川沿いの道を歩いた。
比叡山を観ながら歩いた。
何を考えて歩いていたのだろう。
何を夢見て歩いていたのだろう。
あれからずっと歩き続けてきたのだな。
気が遠くなるような時間だ。
夢はことごとく消えてしまったのかもしれない。
それどころか、40年後の全盲の人生なんて考えたことがなかった。
悔しさや悲しさがないわけではない。
でも、見えないことも含めて受け入れている今がある。
僕なりに精一杯生きてきたのだろう。
後輩の肘を持って歩き続けた。
春風が心地よかった。
彼の未来が豊かでありますようにと心から願った。
そして、僕ももうちょっと頑張ろうと思った。
(2020年3月20日)