桜の開花のニュースを聞いた。
雪が散らつく中での開花とのことだった。
僕にも経験があった。
いつだったのだろう。
どこにでもありそうな児童公園の桜だった。
名残雪の中での淡いピンク色をしっかりと憶えている。
美しさに足が竦んでしまった。
しばらく佇んでいた。
飽くことのない時が流れていた。
記憶とは面白いもので、その後焼肉屋さんに行ったことまで憶えている。
雪と桜と焼肉が似合うとは思えない。
それなのに記憶はとても鮮やかだ。
地下の焼肉屋さんに続く階段まで憶えている。
切り取られた記憶が幸せに包まれているということだろうか。
もうしばらくすれば、京都の桜も咲き始める。
満開の桜の木の下を歩きたい。
のんびりとゆっくりと歩きたい。
(3月15日)