バスや電車の中ではマスクをしている。
マスクは息苦しい感じがして嫌いなのだけど社会情勢からして仕方ない。
僕は毎年この季節は咳が出やすくなる。
何かのアレルギーなのかもしれない。
でも、今年はバスや電車の中では咳き込むのを我慢している僕がいる。
咳をしてしまうと何となく視線を感じてしまうのだ。
罪悪感みたいな感覚になってしまう。
恐怖が曇り空みたいに社会を覆っているせいだろう。
見えないもの、
聞こえないもの、
匂わないもの、
触れないもの、
それは厄介だ。
被害者になるのは嫌だし、加害者になるのはもっと嫌な気がする。
でも、どうしようもない。
仕方ないからしばらくはマスクをつけて歩くのだろう。
しばらくがいつまでかも想像できない。
「松永さん、サングラスにマスク、不審者みたいですね。
野球帽はかぶらないでくださいね。」
先日出会った眼が見える知り合いに茶化された。
確かにマスクを付け始めてからサポートの声は激減した。
早く平穏になりますようにと祈るだけだ。
(2020年3月1日)