友人が連れていってくれたお店はわら天神の近くだった。
昔ながらの食堂という感じのお店だった。
いつも混んでいるとの前情報だったが、やっぱり混んでいた。
老若男女、いろいろなお客さんがおられた。
なんとなく懐かしい雰囲気だった。
友人のお勧めの「たぬき」を頼んだ。
京風の薄味のおだしであんかけになっていた。
その上にすりおろした生姜がたっぷりのっていた。
友人がお箸で溶いてくれた。
うどんは柔らかかった。
最近は腰があるのが多くなっているが、子供の頃食べていたのはこのうどんだった。
刻んだおあげと少しのネギがアクセントになっていた。
フーフー言いながら食べた。
飾り気のない味が胃袋にしみていった。
愛され続けてきた味なのだと感じた。
おだしも飲み干してしまった。
食べ終えて、薄めのお番茶で口を整えた。
この幸せが640円。
身体も心もあたたまった。
この年になって味覚は少し成熟したような気がする。
値段にも見た目にも惑わされなくなった。
いや、見た目はたまたま見ていないだけなんですけど。
見えなくなっても食いしん坊は進化するってことかなぁ。
(2020年1月16日)